1. 起動スクリプトの作成
起動スクリプトを作成・編集します。
起動スクリプトは5つ作成します。
qmail-start ← qmail
qmail-smtpd ← smtp
qmail-smtpd-ssl ← smtp SSL
qmail-pop3d ← pop3
qmail-pop3d-ssl ← pop3 SSL
2. qmail-start
インストール後に作成されている /usr/local/etc/rc.d/qmailsend は削除します。
rm /usr/local/etc/rc.d/qmailsend
qmail の起動スクリプト /usr/local/etc/rc.d/qmail-start を作成して以下のように編集します。
#!/bin/sh
#
# PROVIDE: qmailstart
# REQUIRE: LOGIN cleanvar
# KEYWORD: shutdown
qmailstart_enable=${qmailstart_enable:-"NO"}
. /etc/rc.subr
name=qmailstart
rcvar=qmailstart_enable
load_rc_config $name
start_cmd=qmailstart_start
procname=/var/qmail/bin/qmail-send
command=/var/qmail/bin/qmail-send
pidfile=/var/run/qmailstart.pid
qmailstart_start()
{
echo "Starting qmail-start."
exec env - PATH="/var/qmail/bin:$PATH" qmail-start ./Maildir/ splogger qmail &
echo $! > $pidfile
}
run_rc_command "$1"
3~5行は、先頭に # がついていますが、ただのコメントではありません。
man コマンドで rcorder を参照しましょう。
3. qmail-smtpd
インストール後に作成されている /usr/local/etc/rc.d/qmailsmtpd は削除します。
> rm /usr/local/etc/rc.d/qmailsmtpd
削除したものは、/var/qmail/boot/qmailsmtpd のシンボリックリンクです。
あらためてコピーします。
> cp /var/qmail/boot/qmailsmtpd /usr/local/etc/rc.d/qmail-smtpd
本サイトの設定と合わない箇所がありますので、編集します。
: ${qmailsmtpd_cdb:=/etc/tcp.smtp}
は、このサイトの設定では、ディレクトリを変更しているのでそれに合わせます。
: ${qmailsmtpd_cdb:=/etc/tcp/tcp.smtp}
$qmailsmtpd_tcpserver -x $qmailsmtpd_cdb.cdb $qmailsmtpd_flags $qmailsmtpd_host $qmailsmtpd_port \
$qmailsmtpd_smtpd $qmailsmtpd_usercheck &
echo $! > $pidfile
の箇所を以下のように編集します。
$qmailsmtpd_tcpserver -v \
-x $qmailsmtpd_cdb.cdb \
$qmailsmtpd_flags $qmailsmtpd_host \
$qmailsmtpd_port \
$qmailsmtpd_smtpd \
$qmailsmtpd_usercheck \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger smtpd &
pid=`expr $! - 1`
echo $pid > $pidfile
49行目の -v オプションは、tcpserver のログを冗長(Verbose)にしています。
起動・終了・接続の都度ログを出力しますので、抑えるのであれば、-v をはずします。(以下同様)
56~57行目は、いささかくるしまぎれの設定ですので解説しておきます。
55行目で splogger に出力を食わせているのは、デフォルトの設定だと、ログが標準出力もしくはエラー出力に表示されてログに記録されないのです。
ログインした状態で再起動するとわかりますが、ログインしたコンソールに simscan のログが出力されてしまうのです。
ところが splogger に出力すると、qmail-smtpd と splogger と2つのプロセスが同時に起動するのです。
で echo $! > $pidfile でプロセスIDを出力すると、$! は最後に起動したプロセスなので、splogger のプロセスID で pid ファイルが出力されてしまうのです。
そうなると stop・restart・status で見る pid が splogger のものなのでまともな判断ができなくなります。
で、pid は最後に起動したプロセスのIDをデクリメントしたものを出力しているのです。
daemontools の使用も検討してみましたが、設定が面倒なので、このような設定に落ち着きました。
もっとよい方法があったら誰か教えてください。
4. qmail-smtpd-ssl
qmail-smtpd を qmail-smtpd-ssl にコピーして
プロンプト略
cd /usr/local/etc/rc.d/
cp qmail-smtpd qmail-smtpd-ssl
編集します。
name=qmailsmtpd
を下記へ
name=qmailsmtpd_ssl
: ${qmailsmtpd_pidfile:=/var/run/qmailsmtpd.pid}
を下記へ
: ${qmailsmtpd_pidfile:=/var/run/qmailsmtpd-ssl.pid}
: ${qmailsmtpd_port:=smtp}
を下記へ
: ${qmailsmtpd_port:=smtps}
echo "Starting qmailsmtpd."
$qmailsmtpd_tcpserver -v \
-x $qmailsmtpd_cdb.cdb \
$qmailsmtpd_flags $qmailsmtpd_host \
$qmailsmtpd_port \
$qmailsmtpd_smtpd \
$qmailsmtpd_usercheck \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger smtpd &
を下記へ
echo "Starting qmailsmtpd-ssl."
$qmailsmtpd_tcpserver -v \
-s -n /etc/ssl/mail/cert.pem \
-x $qmailsmtpd_cdb.cdb $qmailsmtpd_flags $qmailsmtpd_host \
$qmailsmtpd_port \
$qmailsmtpd_smtpd \
$qmailsmtpd_usercheck \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger smtpds &
50行目の /etc/ssl/mail/cert.pem は「メールサーバ」の「証明書を使用する」の項で作成したものです。
セキュリティ対策で別のディレクトリに変えたり、ファイル名を変更している場合は適宜置き換えてください。(以下同様)
蛇足)
name を qmailsmtpd-ssl にしたかったのですが・・・。
- が使えないので qmailsmtpd_ssl にしました。
5. qmail-pop3d
qmail-pop3d の起動スクリプト
/usr/local/etc/rc.d/qmail-pop3d
を作成して編集します。
#!/bin/sh
#
# PROVIDE: qmailpop3d
# REQUIRE: LOGIN cleanvar
# KEYWORD: shutdown
qmailpop3d_enable=${qmailpop3d_enable:-"NO"}
. /etc/rc.subr
name=qmailpop3d
rcvar=qmailpop3d_enable
load_rc_config $name
start_cmd=qmailpop3d_start
procname=/usr/local/bin/tcpserver
command=/usr/local/bin/tcpserver
pidfile=/var/run/qmailpop3d.pid
qmailpop3d_start()
{
echo "Starting qmaili-pop3d."
/usr/local/bin/tcpserver -v \
0 pop3 /var/qmail/bin/qmail-popup hogehoge.ne.jp \
/usr/local/bin/checkpassword \
/var/qmail/bin/qmail-pop3d Maildir \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger pop3d &
pid=`expr $! - 1`
echo $pid > $pidfile
}
run_rc_command "$1"
26行目の hogehoge.ne.jp は、ドメイン名を合わせてください。
6. qmail-pop3d-ssl
qmail-pop3d を qmail-pop3d-ssl にコピーして
プロンプト略
cd /usr/local/etc/rc.d/
cp qmail-pop3d qmail-pop3d-ssl
編集します。
name=qmailpop3d
を下記へ
name=qmailpop3d_ssl
pidfile=/var/run/qmailpop3d.pid
を下記へ
pidfile=/var/run/qmailpop3d-ssl.pid
echo "Starting qmaili-pop3d."
/usr/local/bin/tcpserver \
0 pop3 /var/qmail/bin/qmail-popup hogehoge.ne.jp \
/usr/local/bin/checkpassword \
/var/qmail/bin/qmail-pop3d Maildir \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger pop3d &
を下記へ
echo "Starting qmaili-pop3d-ssl."
/usr/local/bin/tcpserver -v \
-s -n /etc/ssl/mail/cert.pem \
0 pop3s /var/qmail/bin/qmail-popup hogehoge.ne.jp \
/usr/local/bin/checkpassword \
/var/qmail/bin/qmail-pop3d Maildir \
2>&1 | /var/qmail/bin/splogger pop3ds &
-s -n /etc/ssl/mail/cert.pem は、必ず /usr/local/bin/tcpserver の直後に記述します。
位置が変わると証明書をチェックできず、クライアントとの接続がタイムアウトになります。
7. 起動
作成したスクリプトに実行権限を付与します。
chmod +x /usr/local/etc/rc.d/qmail-*
「/etc/rc.conf」に以下の行を加えます。
qmailstart_enable="YES"
qmailsmtpd_enable="YES"
qmailpop3d_enable="YES"
起動します。
/usr/local/etc/rc.d/qmail-start start
/usr/local/etc/rc.d/qmail-smtpd start
/usr/local/etc/rc.d/qmail-smtpd-ssl start
/usr/local/etc/rc.d/qmail-pop3d start
/usr/local/etc/rc.d/qmail-pop3d-ssl start
とりあえず、これでメールの送受信はできます。
「メールサーバ - メール配送テスト」を参考にして、サーバ内で送受信ができるかを確認の後、クライアントのメール設定を行って送受信を確認します。